背景公式
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(姿勢が出来たところで、心の調整の第1歩に移ろう)
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(1) 手 順
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@ 姿勢を整える。
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(※ 以下は、椅子姿勢でも、安楽椅子姿勢でも、仰臥姿勢でも同じ手順)
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A 軽く目を閉じる。
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B 腹式呼吸で深呼吸を2〜3回行う。
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C 吐く息とともに体の力を抜く。
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D ゆっくりとした自然の呼吸に合わせて、「気持ちが落ち着いている」という言葉を、心の中で
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およそ4〜5回ぐらい繰り返す。
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(2) 注 意
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@ 自分で「落ち着け。落ち着け。」と気持ちを落ち着かせようとムキになったりせず、気持ちが
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落ち着いていてゆったりとしている姿を思い描こう。
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A 気持ちが落ち着いていても落ち着いていなくても、「気持ちが落ち着いている」という言葉を、
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心の中でゆっくりと繰り返しうかべてみよう。
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B 受動的注意集中(心の中で起こっている出来事を、ありのまま見つめ、自然に受け止める気
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持ち)を心がけて練習しよう。
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受動的注意集中
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公式で示している身体の各部分(右腕、左腕、両腕、右脚、左脚、両脚など)に、ぼんやりと注意
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を向けて、その部分に「温かい」あるいは「重たい」などの変化が現れるのを待ち、変化が現れたら、
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その変化を自然に受け止めるような注意の仕方を受動的注意集中という。
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「温かくしよう」とか、「重たくしよう」という意識が出ると、それは自分自身で変化を引き起こそうと
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する能動的(積極的)注意集中となり、気分が悪くなったり、息苦しくなるなど、好ましくない反応の
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もとになる。
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もし、練習中に息苦しい感じや、気分が悪くなるなど、好ましくない反応が現れたら、消去運動を
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行って練習を一旦中止し、時間をおいて様子を見ながら、また練習に取り組んでみよう。
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消去運動
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(自律訓練の練習に区切りをつけたり、練習を中止するときに行う運動)
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(1) 手 順
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@ 目を閉じたまま、背筋、首筋を伸ばし顔を正面に向ける。
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A 両手に強く力を入れて握り拳を作り、次に握り拳をジャンケンのパーのように開く。(この動作
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を3回ほど繰り返す)
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B 腕に力こぶを作るように、腕に力を込めて、握った両手の拳を強く胸元に引き寄せる。(この動
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作も3回ほど繰り返し、Cに移る)
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C 両手を前方に3回ほど押し出すように伸ばしながら、その都度、拳を作っていた両手をパッと開
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く。
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D 大きく背を伸ばすようにして、深呼吸を2〜3回行う。
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(※ 最後に深呼吸をする際に、手と手を組み合わせて大きく伸びをするなどして、充分に体の
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こりをほぐすようにする)
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E 静かに目を開ける。
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(2) 注 意
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@ 電車の中で行う場合のように、人目が気になったり、腕を伸ばすスペースが無い時は、手と手
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を組み合わせて簡単に伸びをするような動作をしよう。この動作だけで、充分上記の消去運動
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の代わりになる。
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練習回数と時間
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練習時間には、特に練習に適した時間や時刻は決められていない。ただ、(朝目が覚めた時、昼
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食後、夕食後、夜、寝床につく前など)練習に取り組む方がご自身で、なるべくリラックスできる時間
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を練習時間に決めて、練習を習慣づけるのが好ましい。
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忙しい場合は、1日1セッションでも練習しよう。1日に何回も練習をするよりも、毎日継続すること
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が大切。
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1セッションは3〜5回の練習で成り立っており、1回の練習時間は、最初のうちは2〜3分、慣れ
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てきたら、4〜5分続けてみよう。効果がすぐに出てこないからといって練習を途中で止めてしまわな
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いことが大切。自分の生活リズムに練習が自然に組み込まれるまで習慣づければ、いずれ必ず効果
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は現れるので、根気よく練習を積み重ねてみよう。
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1回の練習内容
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@ ゆっくりと腹式呼吸を2〜3回繰り返す。
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↓
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A 呼吸を自然な普通の呼吸に戻し、背景公式「気持ちが落ち着いている」を頭の中で、およそ3〜
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4回ほど繰り返し思い浮かべる。
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↓
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B 腕(あるいは脚)にぼんやりと注意を向けて、温感又は、重感(あるいは温・重感)公式腕(脚)が
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温かい(重たい)を頭の中でおよそ3回ほど繰り返し思い浮かべる。
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↓
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C 消去運動をする。
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上記の1(腹式呼吸)から、4(消去運動)までをおおよそ3回ほど繰り返す。
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右腕の温感(重感)練習
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(1) 手 順
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@ 姿勢を整える。
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A 軽く目を閉じる。
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B 腹式呼吸で深呼吸を2〜3回行う。
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C 吐く息とともに体の力を抜いてゆく。
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D 姿勢が出来たら腹式呼吸から普通の自然な呼吸に戻す。
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E 右腕に受動的注意を向けて、「気持ちが落ち着いている。右腕が温かい(重たい)」という言葉を、
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ゆっくりとした自然の呼吸に合わせて、心の中で5回ぐらい繰り返す。
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F 消去運動をする。
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G 上記@〜Fを3回程繰り返し、1セッションの練習を終了する。
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(2) 注 意
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@ 左利きの人は、左腕から始めよう。
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A 練習中、めまいや頭痛など不快感を伴う場合は、練習を切り上げよう。
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(このときも、必ず消去運動を行う)
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B 練習の区切りがついたら、温感(重感)が出ていなくても消去運動に移る。
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練習中の雑念
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練習中に仕事のことや、過去の失敗、ちょっとした心配事などの「雑念」が浮かんできても、なるべく
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浮かぶに任せ、一方で、ただ公式言語を繰り返すことを心がけよう。普通は、浮かぶに任せると、雑念
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は次第に気にならなくなり練習がうまく進むようになる。
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どうしても雑念が気になる時は、消去運動をして一旦練習を中断し、少し様子を見て最初からやり直
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してみよう。
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練習の進め方
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練習は、各段階で公式で示されている感覚が充分実感され、その公式をうかべるとすぐ感覚が現れ
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るようになったら次に進むようにする。腕や脚の自然な温かさ、重さの感覚に注意を向ける練習が積み
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重ねられる過程の中から、やがて練習の効果が現れてくる。
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温感練習の場合 (以下の身体各部に順番に注意を向け、その部分に変化が現れた次の部分に注意
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を向けるようにする)
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(1) 利き腕 : 練習公式「右腕(左腕)が温かい」
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(2) 利き腕 → 反対側の腕にも注意を向け練習する。
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: 練習公式「右腕(左腕)が温かい」「左腕(右腕)が温かい」
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(3) 両腕と利き足
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: 練習公式「両腕と右脚(左脚)が温かい」
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(4) 両腕と利き足 → 反対側の足
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: 練習公式「両腕と右脚(左脚)が温かい」「両腕と左脚(右脚)が温かい」
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(5) 両腕・両脚に同時に注意を向け練習する。
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: 練習公式「両腕と両脚が温かい」
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重感練習の場合 (上記の温感練習と同じく、順番に練習を進めてゆく)
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(1) 利き腕 : 練習公式「右腕(左腕)が重たい」
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(2) 利き腕 → 反対側の腕にも注意を向け練習する。
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: 練習公式「右腕(左腕)が重たい」「左腕(右腕)が重たい」
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(3) 両腕と利き足
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: 練習公式「両腕と右脚(左脚)が重たい」
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(4) 両腕と利き足 → 反対側の足
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: 練習公式「両腕と右脚(左脚)が重たい」「両腕と左脚(右脚)が重たい」
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(5) 両腕・両脚に同時に注意を向け練習する。
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: 練習公式「両腕と両脚が重たい」
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温感とは
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温感は、自律訓練法を行うことで筋肉の緊張が緩み、体に肺めぐらされた毛細血管の決行が良くなっ
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てきたときに感じられる、自分自身の体温の自然なぬくもりのことをいう。温感練習で感じられる温感は、
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ストーブやコタツの暖かさと違い、自然で柔らかいぬくもりを指す。
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温感は、以下のような形で感じられる。
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・ 眠くなってきた赤ん坊や幼児の手のぬくもりのような感じ
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・ 犬や猫が、体に接触しているときのぬくもりのような感じ
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・ 天気の良い日に、外で干して取り込んだ毛布の中に、手を差し込んだときのぬくもりのような感じ
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・ ホカホカと温かい感じ
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・ ゆったりホンワカとした温かさ
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手足の冷えやすい人は、風呂上がりに練習をやってみよう。
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温かさを感じる場所は、人により違いがある。
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腕の場合・・・・・・指先、手のひら、手の甲、あるいは腕の付け根まで全体など
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脚の場合・・・・・・つま先、足の裏、足の甲、あるいはももの付け根まで全体など
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重感とは
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重感とは、物を持った時に感じる重さではなく、筋肉の力が抜けることで生じる、だらんとした自然な体
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の重さの感じのことである。
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重感の感じ方には、個人差があるが、だいたい以下のような感じの場合が多い。
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・ 力の抜けた感じ
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・ ダラーンとした感じ
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・ 重くてだるい感じ(重だるい感じ)
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・ 腕や脚が少し大きくなったような感じ
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・ 腕や脚が何か物体になったような感じ
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・ 腕や脚があるのかどうか分からなくなる感じ
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・ 腕や脚が少し膨張したような感じ(ふくらんだ感じ)
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・ 腕や脚が沈み込んでいくような感じ
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重感の練習中、逆に軽くなった感じや、固い感じ、こわばった感じ、肩こりや不快感、吐き気やめまいな
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どが起こったときは、受動的注意集中がうまくできていない場合が多い。
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これは、早く練習効果を出そうとする気持ちが働き、知らないうちに積極的な注意集中を行っている事が
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考えられる。こうした時は、練習を一旦中止してしばらくは、「気持ちが落ち着いている」という公式だけを繰
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り返してみたり、練習時間を短くしてみるとよい。
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重さを感じる体の場所も、人により違っている。
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腕の場合・・・・・・指先、手のひら、腕の付け根まで全体など
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脚の場合・・・・・・つま先、足の裏、ふくらはぎ、ももの付け根まで全体など
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